A1. |
改正前の「財産債務明細書」が見直され、新たに「財産債務調書」として整備され、平成28年1月1日以後の提出分から適用されておりますのでその概要を以下でご説明します。 |
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改正前の「財産債務明細書」のあらまし |
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確定申告書に記載したその年分の総所得金額等の合計額(注1)が2,000万円を超える人は、その年12月31日(年の中途で死亡した人はその死亡の日、出国した人はその出国の日)現在において有する財産の種類、
数量、価額並びに債務の金額などを記載した「財産債務明細書」を、確定申告書を提出する際に納税地の所轄税務署長に提出しなければなりませんでした。
なお、修正申告書の提出により、これらの所得の合計額が2,000万円を超えることとなる場合も同じです。 |
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(注1)総所得金額等の合計額とは、次の所得の合計額であり、所得控除額を控除する前の所得をいい、これは改正前後を通じて同じです。 |
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(1) |
総所得金額(総合課税となる各種所得の合計額をいいます) |
(2) |
分離短期及び分離長期譲渡所得金額
(土地建物等の譲渡所得で特別控除の適用後の所得をいいます) |
(3) |
分離課税となる株式等に係る配当所得の金額及び譲渡所得の金額
(上場株式等に係る譲渡損失の繰越控除後の所得をいいます) |
(4) |
分離課税となる先物取引に係る雑所得等の金額
(先物取引の差金等決済に係る損失の繰越控除後の所得をいいます) |
(5) |
山林所得の金額 |
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2. |
新設された「財産債務調書」の概要 |
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1) |
提出義務者と提出基準の見直し
その年分の総所得金額等の合計額が2,000万円を超え(所得金額要件)、かつ次の①又は②の「保有資産要件」のいずれかを充足している者が提出義務者です。
(1) |
その年の12月31日における保有財産の価額の合計額が3億円以上 |
(2) |
その年の12月31日における保有する有価証券等の額の合計額が1億円以上 |
(注2)「保有財産金額要件」とは
1) |
保有財産金額要件の3億円、又は1億円は国内財産及び国外財産の合計額によります |
2) |
保有財産金額の評価は、原則として時価(不特定多数の当事者間で自由な取引が行われる場合に通常成立すると認められる価額)によりますが、納税者の事務負担等に配慮して時価に準ずる価格としての下記の「見積価額」による評価を認めています。
(1) |
土地・建物の見積価額は次の通りです。
イ) |
その年分の固定資産税評価額が基本となります。
国外財産の場合も外国、又は外国の地方公共団体の定める固定資産税に相当する租税の課税評準額によります。 |
ロ) |
なお、業務用減価償却資産については、その年の「減価償却後の価額」によることができます。
また非業務用減価償却資産については、その年の経過年数に応ずる償却費の額を控除した金額によります。 |
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(2) |
有価証券等の内訳と見積価額は次のとおりです。
イ) |
株式、公社債、投資信託等の上場有価証券等については、年末に証券会社から案内のある「取引明細等」によります。
なお、非上場株式等については、財産評価基本通達に基づく相続税評価額が基本となります。 |
ロ) |
匿名組合契約出資の持分については、営業者等から年末に案内のある計算書等の出資額によります。 |
ハ) |
未決済信用取引等に係る権利、及び未決済のディバティブ取引による権利については、銀行、証券会社等から入手したその年末に決済があったものとみなして計算したみなし決済損益額によります。 |
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2) |
記載事項等の見直し
現行の記載事項である「財産の種類、数量及び価額」のほか財産の所在、有価証券の銘柄等、及び取得価額についても記載を要することとされています。
詳細については新設の「財産債務調書」の裏面に記載方法が明示されていますのでご参照下さい。 |
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3) |
加算税の加減算によるインセンティブ措置の導入
所得税、相続税の申告漏れがあった場合、次の措置が適用されます。
(1) |
財産債務調書に記載がある部分については、過少(無)申告加算税を5%軽減されます。 |
(2) |
一方、財産債務調書の不提出・記載不備に係る部分については、過少(無)申告加算税を5%加重されます。 |
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4) |
その他の見直し
(1) |
財産債務調書の不提出、及び虚偽記載に係る罰則規定は従前どおり設けられておりません。 |
(2) |
ただし「財産債務調書」が従前は所得税申告書の添付書類の一つであったものが、
今般の改正により独立した一つの法定調書として位置づけられたことに伴い、
国税職員による質問検査権が所得税に対するものとは別個に「財産債務調書」そのものについてその提出義務(提出義務があると認められる者を含みます)に及ぶことに改正されましたのでご留意下さい。 |
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A2.
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1
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国外財産調書を提出しなければならない者とは |
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居住者(「非永住者」を除きます)は、その年の12月31日において、その価額の合計額が5,000万円を超える国外財産を有する場合には、
その財産の種類、数量及び価額その他必要な事項を記載した「国外財産調書」をその年の翌年3月15日までに納税地の所轄税務署長に提出しなければならないこととされています。 |
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(注) |
1) |
「居住者」とは国内に住所を有し、又は現在まで引き続き1年以上居所を有する個人をいいます。 |
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2) |
「非永住者」とは、居住者のうち日本の国籍を有しておらず、かつ過去10年以内において国内に住所、又は居所を有していた期間の合計が5年以下である個人をいいます。 |
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3) |
「国外財産」とは、「国外にある財産をいう」こととされています。
「国外にある」かどうかの判定は財産の種類ごとに行います。
(例) |
「不動産又は動産」はその財産の所在地 「預金、貯金又は預金」は、その財産の受入れをした営業所等の所在地 |
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2. |
国外財産の評価 |
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国外財産の「価額」はその年の12月31日における「時価」、又は時価に準ずるものとしての「見積価額」によることとされています。
また「邦貨換算」は、同日における「外国為替の売買相場」によることとされています。
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3. |
財産債務調書との関係 |
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「国外財産調書」を提出する者が「財産債務調書」の提出義務者でもある場合には、国外財産調書に記載した国外財産については、財産債務調書の内容の記載は要しません。
ただし、財産債務調書の備考欄に「国外財産調書に記載のとおり」と記載することとなります。 |
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4. |
加算税の課減算によるインセンティブ措置 |
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(=平成26年1月1日以後提出分より適用されています)
1) |
期限内に提出した調書に記載がある国外財産に関して所得税・相続税の申告漏れが生じたときの過少申告加算税等は5%軽減されます。 |
2) |
一方、期限内に提出がないか、調書に記載がない国外財産に関して申告洩れが生じたときは過少申告加算税等が5%加重されます。 |
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5. |
罰則規定 |
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(=平成27年1月1日以後提出分より適用されています)
1) |
国外財産調書に偽りの記載をして提出していた場合、又は正当な理由なく提出期限内に提出しなかった場合には1年以下の懲役または50万円以下の罰金が課されます。 |
2) |
ただし、期限内に提出をしなかった場合で期限後に提出したなどの場合には、情状によりその刑を免除することができるとされています。 |
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