ドクター渡辺の税金講座

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平成27年度税制改正 富裕層対策税制の創設

Q1. 平成28年度税制改正で、住宅の三世代同居改修工事等に係る特例が創設されたそうですが、どんな制度ですか。
A1.  
 
1 制度創設の趣旨・背景
   
1. 内閣府による「平成25年度家族と地域における子育てに関する意識調査」によると、理想の家族の住まい方について、20.6%が三世代同居を理想としており、また78.7%が祖父母の育児や家事の手助けが望ましいとしています。
   
2. また「全国家屋動向調査2013」(国立社会保障・人口問題研究所)では、出産や育児に関する最も重要な支援提供者は親(=祖父母)となっています。
   
3. このように出産・子育てへの不安や負担が大きいことが少子化の要因の一つであることを踏まえ、安心して子供を育てられる環境整備の手段として、世代間の助け合いを図るための三世代同居を促進するために、三世代同居に係る税制上の軽減措置として、住宅借入金等がある場合と住宅借入金等がない場合の二通りの所得税額控除の特例が設けられました。
  2. 住宅の三世代同居改修工事等に係る住宅借入金等を有する場合の所得税額の 特別控制度の創設
   
1. 制度のあらまし
個人がその者の有する居住用家屋について一定の三世代同居改修工事を含む増改築等(以下「三世代同居改修工事等」といいます)をして、その者の居住の用に供した場合「特定の増改築等に係る住宅借入金等を有する場合の所得税額の特別控除」制度の対象に追加し、その三世代同居改修工事等に充てるために借り入れた下表の住宅借入金等の年末残高(1,000万円を限度)の区分に応じそれぞれに定める割合に相当する金額の合計額を所得税の額から控除することができます。

住宅借入金等の区分 控除割合
【1】一定の三世代同居改修工事等に係る工事費用(250万円が限度)に相当する住宅借入金等の年末残高 2%
【2】【1】以外の増改築等に係る住宅借入金等の年末残高 1%

この特例は「特定増改築等に係る住宅借入金等を有する場合の所得税額の特別控除」 制度との選択適用とされ控除期間は5年です。
   
2. 適用対象となる要件
この制度は、次の要件等を満たすことにより適用されます。
1) 適用対象となる改修工事
「一定の三世代同居改修工事」とは(1)調理室(2)浴室(3)便所又は(4)玄関のいずれかを増設する工事(改修後(1)から(4)までのいずれか二つ以上が複数となるものに限られます) であって、その工事費用(補助金等の交付がある場合には、その補助金等の額を控除した後の金額)の合計額が50万円を超えるものをいいます。
2) 住宅借入金の範囲
この適用対象となる住宅借入金等は償還期間5年以上の住宅借入金等をいいます。
3) 証明書の添付要件
三世代同居改修工事等の証明書は、次の者が発行したものをいいます。
(1)住宅の品質確保の促進等に関する法律に規定する登録住宅性能評価機関
(2)建築基準法の規定により登録された建築士事務所に所属する建築士
(3)特定住宅瑕疵担保責任の履行の確保等に関する法律の規定による指定を受けた住宅瑕疵担保責任保険法人
4) その他の適用要件
現行の「特定の増改築等に係る住宅借入金等を有する場合の所得税額の特別控除」制度の適用要件と同様です。後述3に参考として掲げた当該制度の概要をご参照下さい。
5) 各年の控除限度額(控除期間5年)
各年の控除限度額(控除期間5年)
6) 適用期間
平成28年4月1日から平成31年6月30日まで適用されます。
   
3. (ご参考)特定の増改築等に係る住宅借入金等特別控除
1) 制度の概要
【1】居住者(特定バリアフリー改修工事の場合は「特定居住者」に限ります)が自己の有する家屋について一定のバリアフリー改修工事、又は一定の省エネ改修工事を含む増改築等をして、平成31年6月30日までの間にその増改築等の日から6ヶ月以内に自己の居住の用に供した場合において、その者がその増改築等に係る住宅借入金等(償還期間が5年以上のものに限ります)を有するときは、住宅ローン控除制度との選択により居住年以後5年間の各年にわたり、下記の住宅借入金等の年末残高(1,000万円を限度)の区分に応じ、それぞれに定める割合に相当する金額の合計額を所得税額の額から控除することができます。

【2】各年の控除限度額(控除期間5年) 各年の控除限度額(控除期間5年)
2) 適用対象となる工事と適用対象者
【1】特定のバリアフリー改修工事
イ) 高齢者等が自立した日常生活を営むのに必要な構造及び設備の基準に適合させるための増築、改築、大規模修繕、大規模模様替えなど
(注)単に増築、改築、大規模修繕、大規模模様替え等の工事は一般の増改築等工事に該当します。
ロ) 適用対象者(=特定居住者)
ⅰ)年令が50才以上である者
ⅱ)要介護認定、又は要支援認定を受けている者
ⅲ)障害者に該当する者
ⅳ)上記ⅱ)、ⅲ)に該当する者、または65才以上である親族と同居している者
【2】特定の省エネ改修工事等
イ) 断熱改工事等
エネルギーの使用の合理化に資する改修工事で
(1)居室全ての窓の改修工事
(2)(1)の工事と併せて行う床の断熱工事
(3)天井の断熱工事、又は(4)壁の断熱工事で、改修部位の省エネ性能がいずれも平成11年基準以上となるものなど
ロ) 特定断熱改修工事等
エネルギー全体の使用の合理化に著しく資する改修工事で、断熱改修工事等のうち、改修後の住宅全体の省エネ性能が平成11年基準相当となると認められるもの
ハ)適用対象者
居住者であれば適用が受けられます。
3) 適用対象となる要件
(1)特定のバリアフリー改修工事、又は特定の省エネ改修工事に該当することについて一定の証明がなされたもの
(2)その工事費用(補助金等があるときは控除後)が50万円を超えること
(3)その改修工事等に係る部位の1/2以上が自己の居住用であること
(4)その改修工事後の家屋の床面積が50㎡以上であること
(5)自己の合計所得金額が3,000万円以下であること  
  3. 既存住宅に係る三世代同居改修工事をした場合の所得税額の特別控除制度の創設
   
1. 制度のあらまし
1) 個人がその者の所有する居住用家屋について、一定の三世代同居改修工事をしてその者の居住の用に供した場合、「既存住宅に係る特定改修工事をした場合の所得税額の特別控除」制度の適用対象に追加し、その三世代同居改修工事に係る標準的な工事費用相当額(250万円限度)の10%に相当する金額をその年分の所得税の額から控除することができます。 
2) (ご参考)現行の「既存住宅に係る特定改修工事をした場合の所得税額の特別控除」制度とは、一定の省エネ改修工事(同時に設置する太陽光発電装置の設置工事を含みます)又はバリアフリー改修工事を行った場合に、標準的な費用の額の10%相当額をその年分の所得税額から控除できる制度です。 なお、住宅特定改修特別税額控除額は次のA+Bが限度です。
各年の控除限度額(控除期間5年)
  
2. 適用対象となる要件
この制度は次の要件を満たすことにより適用されます。
1) 適用対象となる改修工事
(1)前述の二の「一定の三世代同居改修工事」の要件と同じです
(2)「標準的な工事費用相当額」とは、三世代同居改修工事の改修部位ごとに標準的な工事費用の額として定められた金額に当該三世代同居改修工事を行った箇所数を乗じて計算した金額とされています。
2) 適用除外
(1)その年の前年以前3年以内の各年において、本税額控除の適用を受けた者はその年分において本税額控除の適用は受けられません。
(2)その年分の合計所得金額が3,000万円を超える場合には本税額控除の適用は受けられません。  
3) その他の適用要件
(1)この税額控除は、三世代同居改修工事が行われた家屋である旨を証する書類等一定の書類の添付が必要です。
(2)この税額控除は、住宅ローン控除、又は特定の増改築等に係る住宅ローン控除と選択適用であり、住宅借入金等がない場合でも適用できる制度ということになります。
4) 適用期間
平成28年4月1日から平成31年6月30日まで適用されます。
     
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