ドクター渡辺の税金講座

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令和2年度 税制改正
居住用財産の譲渡特例を適用した場合の住宅ローン控除適用の見直し

Q.令和2年度税制改正で住宅借入金等特別控除(以下「住宅ローン控除」といいます)の現行制度に一定の適用制限が加えられるそうですがどんな改正ですか。

A. 

一.現行の住宅ローン控除制度

1.個人が新築住宅の取得し、もしくは既存住宅の取得又は自己の所有しかつ居住している住宅に一定の増改築等(以下「住宅の取得等」といいます)をして、自己の居住の用に供した場合において、その者がこれらの「住宅の取得等」のための一定の借入金等(以下「住宅借入金等」といいます)を有するときは、その居住の用に供した年(以下「居住年」といいます)以後10年間の各年分の所得税額から住宅ローン控除額を差引くことができます。

2.平成26年4月1日から令和3年12月31日までの間に居住の用に供した場合の、住宅ローン控除、及び認定住宅の新築等を行った場合の住宅ローン控除制度

    1. (注1)「特定取得」とは住宅の取得等に係る消費税率8%である場合の住宅の取得をいいます。
      1. ①平成26年4月1日以降消費税率が8%へ引き上げの影響を緩和するため、住宅ローンの年末残高の限度額が4,000万円(認定住宅の場合は5,000万円)に拡大されています。
      2. ②平成31年3月31日までに住宅の請負契約をして、建物の完成引渡しが令和1年10月1日以後となった場合で、経過措置により消費税率8%が適用されているケースを含みます。
    2. (注2)「特別特定取得」とは、住宅の取得等に係る消費税率が10%である場合の住宅の取得をいいます。
      1. ①令和元年10月1日以後に住宅の取得等をして消費税率10%が適用された場合は、上記(注1)の緩和措置の適用に加えて、後述3の「住宅ローン控除の特例」が創設されています。
    3. (注3)特定取得に該当しないケースとは、消費税率8%以上が適用されない住宅の取得等の場合をいい具体的には個人間売買等が該当します。

3.特別特定取得の場合の住宅ローン控除の特例

これは消税率を10%へ引上げによる住宅に係る駆け込み・反動減対策のための住宅ローン控除期間の特例です。

  • 1)適用要件
    • ①個人の住宅の取得等の対価に含まれる消費税率が10%(=特別特定取得)であること
    • ②住宅の取得等をした家屋を令和1年10月1日から令和2年12月31日までの間(取得等から6ケ月以内)に自己の居住の用に供したこと
    • ③適用年の11年目から13年目までの間も特別特定取得に係る住宅ローン等の残高を有すること
  • 2)「住宅ローン控除の特例」の控除額
    • ①一般住宅の場合は次のいずれか少ない額が3年間控除されます。
      • イ)住宅借入金等の年末残高(4,000万円限度)×1%
      • ロ)(住宅の取得等の対価の額−当該対価に含まれる消費税等の額)
         (4,0000万円限度)×2%÷3
    • ②認定住宅の場合は次のいずれか少ない額が3年間控除されます。
      • イ)住宅借入金等の年末残高(5,000万円限度)×1%
      • ロ)(住宅の取得等の対価の額−当該対価に含まれる消費税等の額)
         (5,0000万円限度)×2%÷3

4.住宅ローン控除が適用されない年分

次の(1)から(3)までのいずれかに該当する年分については、住宅ローン控除は適用できません。

  • (1)合計所得金額が3,000万円を超える年分
  • (2)その年の12月31日まで引き続いて自己の居住の用に供していない年分
  • (3)ローン控除の適用対象となる住宅の取得等をして居住の用に供した居住者がその居住年を含む前後2年間において、以下のいずれかの特例の適用を受けている場合には、住宅ローン控除そのものが全期間に亘って適用できません。
    つまり、新規取得住宅に住宅ローン控除の適用を受けるか、従前の住宅に下記の居住用財産の譲渡所得の課税の特例等の適用を受けるか、いずれかを選択すべきことになります。
    1. イ)居住用財産の譲渡所得の特別控除(3,000万円控除)特例
    2. ロ)長期所有(10年超)居住用財産の長期譲渡所得の軽課特例

      (注)上記3,000万円控除特例適用後の譲渡所得が6,000万円までは所得税10%、住民税5%の税率で軽課されます。

    3. ハ)特定の居住用財産の買替え等の場合の課税の特例

      (注)長期所有(10年超)居住用財産で10年以上居住の用に供していたものを譲渡して、その年の年末までに買替資産を取得し、かつその翌年末までに自己の居住の用に供したときは、譲渡収入金額が買替資産の取得価額を上回る部分の金額についてのみ、長期譲渡所得として課税されます。

    4. ニ)既成市街地等内にある土地等の中高層耐火建築物の建設のための買替え等の場合の課税の特例(立体買替えの特例)

      (注)既成市街地等内にある土地等を譲渡し、その譲渡した土地等の上に建築された中高層耐火共同住宅、及びその敷地持分とを交換取得して、取得後1年以内に事業の用又は居住の用に供したときは、交換譲渡収入が買替資産の取得価額を上回る部分の金額についてのみ譲渡所得として課税されます


二.居住用財産の譲渡特例を適用した場合における住宅ローン控除適用の見直し

1.現行制度のあらまし

  • 1)居住用財産の譲渡特例(前述一の4の2)のイ、ロ、ハの特例)については、居住用財産について居住の用に供しなくなった日から3年経過日の属する年の年末までの譲渡について適用が可能となっています。
  • 2)一方、住宅ローン控除の適用については、新たに住宅の取得等をして居住の用に供した年を含めた前後2年間については、居住用財産の譲渡特例の適用を受けている場合には適用ができないことになっています。
  • 3)つまり、従前住宅を、居住の用に供しなくなった年の3年後に譲渡した場合には、上記1)、2)のいずれの特例についても適用を受けることが可能となっていました。

2.改正内容

  • 1)新規住宅の居住年から3年後に従前住宅を譲渡した場合において、その譲渡について譲渡特例を受けるときは、新規住宅について住宅ローン控除の適用ができないことになります。
  • 2)改正の時期
    上記の改正は、令和2年4月1日以後に従前住宅を譲渡する場合に適用されます。