ドクター渡辺の税金講座

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平成29年分住宅取得と確定申告について

Q1.平成29年中に住宅を取得した人の住宅借入金等特別控除(住宅ローン控除)のあらましと確定申告について教えて下さい。

A1.平成29年中に住宅を取得した人に係る住宅ローン控除制度のあらましは次のとおりです。

1.住宅ローン控除

1)居住者が新築住宅、又は既存住宅を取得し又は一定の増改築等をして(以下「住宅の取得等」といいます)、これらの家屋を平成29年中に
  自己の居住の用に供した場合において
2)その者が、住宅の取得等に係る一定の住宅ローンを有するときは、
3)その居住の用に供した年以後の各年の年末における住宅ローンの残高に下表のとおり一定の控除率をかけてその年分のローン控除額を
  計算し10年間控除されます。

一般住宅の住宅ローン控除の居住開始年・月ごとの最大控除額等 <表1>

表1

認定住宅の住宅ローン控除の居住開始年・月ごとの最大控除額等 <表2>

表2

(注1)

平成26年4月以後、消費税が8%へ引き上げの影響を緩和するため、住宅ローンの年末残高の限度額が4,000万円(認定住宅の場合は5,000万円)に拡大されています。<表1>・<表2>は平成29年中に住宅取得等し、居住の用に供した方を対象としております。

(注2)

  • ①住宅ローン控除額の拡大は消費税率引上げに対応するものですから、居住開始年・月ではなく、消費税の新税率8%で住宅の取得等をした場合(「特定取得」といいます。以下同じ)に限り上表の上段の適用が受けられます。
  • ②平成25年9月30日までに住宅の請負契約をして、建物の完成引渡し日が平成26年4月1日以後となった場合では、経過措置により消費税率5%が適用されています。また個人間の中古住宅売買には消費税は課税されません。
    これらの場合は上表の下段の適用となりますのでご注意下さい。

2.住宅ローン控除不足額の住民税からの控除制度(ご参考)

前述1により所得税の住宅ローン控除の適用がある人で、その年分の所得税額から控除し切れなかった残額がある人については、翌年分の住民税から下表のとおり一定額が控除されます。

住宅ローン控除不足額の住民税からの控除額 <表3>

表3

(注3)

  • ①平成26年4月以後居住開始分については、上表の上段のとおり控除限度額が拡大されています。
  • ②この控除限度額の拡大は、消費税率引上げに対応するものですから、居住年・月ではなく、新税率8%で住宅の取得等(「特定取得」)をした場合に限り、上表の上段の適用が受けられます。それ以外のケースでは上表の下段の適用となります。
  • ③そもそもこの制度の背景は、平成18年度税制改正により、課税所得金額195万円までの部分について所得税率10%のうち5%が住民税へ税源移譲されたため、従前に比して所得税からのローン控除不足が最大97,500円(=195万円×5%)生じ得ることをカバーするために設けられたものです。

3.住宅ローン控除の適用要件等 <表4>

表4

(注4)一定の耐震基準適合住宅とは

  • a.その家屋の取得日前2年以内に耐震基準適合証明のための家屋の調査が終了したもの
  • b.その家屋の取得日前2年以内に建設住宅性能評価による適合評価が終了したもの
  • c.その家屋の取得日前2年以内に既存住宅売買瑕疵担保責任保険契約が締結されたもの

(注5)要耐震改修住宅とは

  • イ)上記②のイ)〜ハ)以外の家屋で平成26年4月1日以後に取得した既存住宅のうち、
  • ロ)その家屋の取得の日までに家屋の一定の耐震改修を行うことについての申請をし、かつ
  • ハ)その者の居住の用に供する日(取得から6ケ月以内)までにその申請に係る証明がされたもの

4.他の特例との併用の可否について

①居住用財産の譲渡所得の課税の特例(3,000万円控除など)とは選択適用となります。

②居住用財産の買換え等の場合の譲渡損失、及び特定居住用財産の譲渡損失の損益通算及び繰越控除制度とは併用できます。

③相続時精算課税による住宅取得等資金の贈与の特例により親からの贈与を受けた人、及び直系尊属から住宅取得等資金の非課税特例贈与(Q2参照)をうけた人もローン控除と併用できます。

5.控除を受けるための確定申告

給与所得者でも、初年度に次の書類を添えて住所地の所轄税務署で確定申告が必要です。 なお2年目以降は勤務先の年末調整を通じての控除が可能です。

確定申告書に添付する書類 <表5>

表5

(注6)

  • ①耐震基準適合の既存住宅の場合は次のいずれかの書類を添付します。
    イ)「住宅性能評価書写」、ロ)「耐震基準適合証明書写」又はハ)「住宅瑕疵担保責任保険契約書写」で前述(注4)に係るもの
  • ②要耐震改修住宅である既存住宅の場合は次の書類を添付します。
    要耐震改修住宅の耐震改修に係る認定通知書写で前述(注5)に係るもの

Q2.平成29年中に住宅を取得した人で、親等から住宅取得等資金贈与を受けた人の贈与税の特例と申告手続について

A2.平成29年中に親等から住宅取得等資金の贈与を受けた人が適用を受けられる二つの制度のあらましは次のとおりです。

1.住宅取得等資金贈与の「非課税制度」のあらまし

1)贈与者の範囲;直系尊属(父母、祖父母、養父母等)であること

2)受贈者の範囲;イ)贈与者の直系卑属であること
ロ)原則として国内に住所を有する者であること
ハ)贈与を受けた年の1月1日現在で20才以上であって、その年の合計所得金額が2,000万円以下であること

3)住宅取得等資金の範囲

  • ①前問の<表1>に定める新築住宅、既存住宅の新築又は取得、又は一定の増改築(「住宅取得等」という)の対価に充てるための金銭で、その全額が住宅取得等、及び住宅取得と同時に又は先行して取得するその敷地の対価に充てられること。

    (注1)平成24年度税制改正で<表1>の住宅の取得及び増改築に係る床面積は、当非課税制度に限り50u以上240u以下と改正されてい
    ます。 なお、「住宅ローン控除」及び後述の「相続時精算課税制度の住宅取得資金の贈与の特例」の適用上の床面積は従来どおり50
    u以上です。

  • ②贈与を受けた年の翌年3月15日までに「住宅取得等」が行われており、同日までに自己の居住の用に供し、又は遅延なく居住の用に供することが確実であること。

4)平成29年中の非課税限度額

  • a)700万円(但し省エネ、耐震住宅の取得資金は1,200万円) 但し、平成21年以降に既にこの特例の適用を受けた金額があるときはそれを控除した残額が限度です。 なお、次のb)又はc)とは別枠での非課税制度です。
  • b)暦年課税の贈与税の基礎控除110万円
  • c)相続時精算課税における「住宅取得等資金贈与の特例」 2,500万円(後述2参照)
    (補注)非課税枠は上記 a)+b)、又はa)+c)のいずれかの組み合わせを併用して選択できます。

2.相続時精算課税制度の住宅取得等資金の贈与の特例

住宅取得等資金の贈与については、贈与者が60才未満であっても相続時精算課税の適用を受けることができることとされ、次の特別控除額の適用が受けられます。

1)相続時精算課税の選択の特例

  • ①贈与者の範囲;直系の父母(年令制限なし)
    (贈与者が60才以上なら一般の相続時精算課税の年令要件を充足
  • ②受贈者の範囲;イ)贈与者の直系卑属である推定相続人(孫を含みます)であること
     (後記(注2)参照)
    ロ)原則として国内に住所を有する者であること
    ハ)贈与を受けた年の1月1日現在で20才以上であること
  • ③住宅取得等資金の範囲;「住宅取得資金贈与の非課税制度」の場合と同じです。
    但し床面積要件は50u以上です。
  • ④相続時精算課税における贈与税の「住宅取得等資金贈与の特例」における 特別控除額2,500万円(一般の特別控除額と同額です)

(注2)なお平成27年1月1日以降一般の相続時精算課税を選択して住宅取得資金贈与の特例の適用を受ける場合、つまり贈与者がその年の1月1日現
在60才以上であるときは、受贈者の範囲は20才以上の推定相続人、及び孫まで拡大されています。

3.「贈与税の申告書」添付書類

1)平成29年1月1日〜12月31日の間に贈与を受けた住宅取得等資金の全額で平成30年3月15日までに住宅用家屋の新築、又は既存住宅の取得をして自己の居住の用に供し、又は遅滞なく居住の用に供することが確実であると見込まれる人のケースで説明します。
次の<表6>の「特例」欄のA・Bは次のものを示します。

A.住宅取得等資金の「非課税制度」

B.相続時精算課税における「住宅取得等資金贈与の特例」

新築又は取得の場合の贈与税の申告書の添付書類 <表6>

表6