ドクター渡辺の税金講座

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平成28年分住宅取得と確定申告について

Q1. 平成28年中に住宅を取得した人の住宅借入金等特別控除(住宅ローン控除)のあらましと確定申告について教えて下さい。
A1. 平成28年中に住宅を取得した人に係る住宅ローン控除制度のあらましは次のとおりです。
 
1. 住宅ローン控除
   
1) 居住者が新築住宅、又は既存住宅を取得し又は一定の増改築等をして(以下「住宅の取得等」といいます)、これらの家屋を平成28年中に自己の居住の用に供した場合において
   
2) その者が、住宅の取得等に係る一定の住宅ローンを有するときは、
   
3) その居住の用に供した年以後の各年の年末における住宅ローンの残高に下表のとおり一定の控除率をかけてその年分のローン控除額を計算し10年間控除されます。

   
<表1>一般住宅の住宅ローン控除の居住開始年・月ごとの最大控除額等
   
居住開始の年・月 住宅取得等の
区分
控除期間 住宅ローンの年末残高の限度額 控除率 年間最大
控除額
全期間
での
最大
控除額
平成28年1月〜平成28年12月 特定取得のケース=下記(注2)(1)参照 10
年間
4,000
万円
1.0
40
万円
400
万円
同上 上記以外のケース=下記(注2)(2)参照 10
年間
2,000
万円
1.0
20
万円
200
万円
   

<表2>認定住宅の住宅ローン控除の居住開始年・月ごとの最大控除額等
   
居住開始の年・月 住宅取得等の
区分
控除期間 住宅ローンの年末残高の限度額 控除率 年間最大
控除額
全期間
での
最大
控除額
平成28年1月〜平成28年12月 特定取得のケース=下記(注2)(1)参照 10
年間
5,000
万円
1.0
50
万円
500
万円
同上 上記以外のケース=下記(注2)(2)参照 10
年間
3,000
万円
1.0
30
万円
300
万円
   
(注1) 平成26年4月以後、消費税が8%へ引き上げの影響を緩和するため、住宅ローンの年末残高の限度額が4,000万円(認定住宅の場合は5,000万円)に拡大されています。
<表1>・<表2>は平成28年中に住宅取得等し、居住の用に供した方を対象としております。
(注2)
(1) 住宅ローン控除額の拡大は消費税率引上げに対応するものですから、居住開始年・月ではなく、 消費税の新税率8%で住宅の取得等をした場合(「特定取得」といいます。以下同じ)に限り上表の上段の適用が受けられます。
(2) 平成25年9月30日までに住宅の請負契約をして、建物の完成引渡し日が平成26年4月1日以後となった場合では、経過措置により消費税率5%が適用されています。 また個人間の中古住宅売買には消費税は課税されません。
これらの場合は上表の下段の適用となりますのでご注意下さい。


  2. 住宅ローン控除不足額の住民税からの控除制度(ご参考)
    前述1により所得税の住宅ローン控除の適用がある人で、その年分の所得税額から控除し切れなかった残額がある人については、翌年分の住民税から下表のとおり一定額が控除されます。

   
<表3>住宅ローン控除不足額の住民税からの控除額
   
 
居住開始年・月 住宅の
取得等の
区分
年間控除限度額
平成28年1月〜
平成28年12月
特定取得の
ケース
所得税の課税総所得金額等×7%
(最高136,500円)
上記以外の
ケース
所得税の課税総所得金額等×5%
(最高97,500円)
   
(注3)
(1) 平成26年4月以後居住開始分については、上表の上段のとおり控除限度額が拡大されています。
(2) この控除限度額の拡大は、消費税率引上げに対応するものですから、居住年・月ではなく、新税率8%で住宅の取得等(「特定取得」)をした場合に限り、 上表の上段の適用が受けられます。それ以外のケースでは上表の下段の適用となります。
(3) そもそもこの制度の背景は、平成18年度税制改正により、課税所得金額195万円までの部分について所得税率10%のうち5%が住民税へ税源移譲されたため、 従前に比して所得税からのローン控除不足が最大97,500円(=195万円×5%)生じ得ることをカバーするために設けられたものです。


  3. 住宅ローン控除の適用要件等
   
<表4>
   
 
項目 適用要件等の内容
住宅の取得等と居住要件
(1) 新築又は既存住宅を取得し、又は一定の増改築等(取得等)をし
(2) 取得等の日から6ヶ月以内の平成28年中に入居し、かつ年末まで居住を継続していること
所得要件 合計所得金額(所得控除前の所得)が3,000万円以下の年に限り適用があります。
ローン要件
(1) 償還期間が10年以上の賦払方式のローン等であること。
新築住宅の要件
  その人が主として居住の用に供している次の住宅であること
(1) その家屋の床面積の1/2以上が専ら居住の用に供されるもの
(2) 家屋の床面積が50m2以上であるもの
既存住宅の要件
  上記の新築住宅の要件の他に次の要件を充たしていること
(1) その家屋が建築後使用されたことのある家屋であること
(2) その家屋が次のいずれかに該当するものであること
(イ) その家屋が耐火建築物であるときは築後25年以内のものであること
(ロ) その家屋が耐火建築物以外であるときは築後20年以内のものであること
(ハ) その家屋が一定の耐震基準を充たすものであること(注4)
(ニ) その家屋が要耐震改修住宅であること(注5)
(3) 配偶者又は取得時及び取得後も引き続き生計を一にする親族等からの既存住宅の取得でないこと
増改築の要件
(1) 一定の増改築及び大規模修繕等で、工事対象家屋の床面積が50m2以上かつ1/2以上が居住用で、工事費用が100万円超であること
(2) 特定増改築等住宅借入金等特別控除制度との選択適用となる増改築等があります(詳細は省略します)
   
(注4) 一定の耐震基準適合住宅とは
a. その家屋の取得日前2年以内に耐震基準適合証明のための家屋の調査が終了したもの
b. その家屋の取得日前2年以内に建設住宅性能評価による適合評価が終了したもの
c. その家屋の取得日前2年以内に既存住宅売買瑕疵担保責任保険契約が締結されたもの
(注5) 要耐震改修住宅とは
イ. 上記(2)の イ) 〜 ハ)以外の家屋で平成26年4月1日以後に取得した既存住宅のうち、
ロ. その家屋の取得の日までに家屋の一定の耐震改修を行うことについての申請をし、かつ
ハ. その者の居住の用に供する日(取得から6ヶ月以内)までにその申請に係る証明がされたもの


4. 他の特例との併用の可否について
   
(1) 居住用財産の譲渡所得の課税の特例(3,000万円控除など)とは選択適用となります。
(2) 居住用財産の買換え等の場合の譲渡損失、及び特定居住用財産の譲渡損失の損益通算及び繰越控除制度とは併用できます。
(3) 相続時精算課税による住宅取得等資金の贈与の特例により親からの贈与を受けた人、及び直系尊属から住宅取得等資金の非課税特例贈与(Q2参照)をうけた人もローン控除と併用できます。


5. 控除を受けるための確定申告
    給与所得者でも、初年度に次の書類を添えて住所地の所轄税務署で確定申告が必要です。
なお2年目以降は勤務先の年末調整を通じての控除が可能です。

   
<表5>確定申告書に添付する書類
   
 
 書類名 書類請求先 備考
(1)住宅借入金等特別控除額の計算明細書 税務署窓口 ローン控除額を自ら計算して申告します。
(2)住民票 市役所等

28年中に住宅に入居したことを証明

(3)「住宅取得等資金に係る借入金の年末残高証明書」 金融機関

その年の年末現在でのローン残高を証明

(4)住宅の土地・家屋の登記簿謄本、売買契約書写、請負契約書写など 法務局
(登記簿謄本)

取得日、取得価額、家屋の床面積、及びその者が住宅を取得したこと。
特定取得であるときはその旨を証明のため

   
(注6)
(1) 耐震基準適合の既存住宅の場合は次のいずれかの書類を添付します。
イ)「住宅性能評価書写」、ロ)「耐震基準適合証明書写」又は
ハ)「住宅瑕疵担保責任保険契約書写」で前述(注4)に係るもの
(2) 要耐震改修住宅である既存住宅の場合は次の書類を添付します。
要耐震改修住宅の耐震改修に係る認定通知書写で前述(注5)に係るもの


Q2. 平成28年中に住宅を取得した人で、親等から住宅取得等資金贈与を受けた人の贈与税の特例と申告手続について
A2. 平成28年中に親等から住宅取得等資金の贈与を受けた人が適用を受けられる二つの制度のあらましは次のとおりです。
 
1. 住宅取得等資金贈与の「非課税制度」のあらまし
   
1) 贈与者の範囲:
直系尊属(父母、祖父母、養父母等)であること
2) 受贈者の範囲:
イ) 贈与者の直系卑属であること
ロ) 原則として国内に住所を有する者であること
ハ) 贈与を受けた年の1月1日現在で20才以上であって、その年の合計所得金額が2,000万円以下であること
3) 住宅取得等資金の範囲
(1) 前問の<表1>に定める新築住宅、既存住宅の新築又は取得、又は一定の増改築(「住宅取得等」という)の対価に充てるための金銭で、 その全額が住宅取得等、及び住宅取得と同時に又は先行して取得するその敷地の対価に充てられること。
(注1) 平成24年度税制改正で<表1>の住宅の取得及び増改築に係る床面積は、 当非課税制度に限り50m2以上240m2以下と改正されています。
なお、「住宅ローン控除」及び後述の「相続時精算課税制度の住宅取得資金の贈与の特例」の適用上の床面積は従来どおり50m2以上です。
(2) 贈与を受けた年の翌年3月15日までに「住宅取得等」が行われており、同日までに自己の居住の用に供し、又は遅延なく居住の用に供することが確実であること。
4) 平成28年中の非課税限度額
a) 700万円(但し省エネ、耐震住宅の取得資金は1,200万円)
但し、平成21年以降に既にこの特例の適用を受けた金額があるときはそれを控除した残額が限度です。
なお、次のb) 又はc) とは別枠での非課税制度です。
b) 暦年課税の贈与税の基礎控除110万円
c) 相続時精算課税における「住宅取得等資金贈与の特例」 2,500万円(後述2参照)
(補注) 非課税枠は上記 a)+b)、又はa)+c)のいずれかの組み合わせを併用して選択できます。

2 相続時精算課税制度の住宅取得等資金の贈与の特例
    住宅取得等資金の贈与については、贈与者が60才未満であっても相続時精算課税の適用を受けることができることとされ、次の特別控除額の適用が受けられます。
   
1) 相続時精算課税の選択の特例
(1)贈与者の範囲 直系の父母(年令制限なし)
贈与者が60才以上なら一般の相続時精算課税の年令要件を充足
(2)受贈者の範囲
イ) 贈与者の直系卑属である推定相続人(孫を含みます)であること(後記(注2)参照)
ロ) 原則として国内に住所を有する者であること
ハ) 贈与を受けた年の1月1日現在で20才以上であること
(3) 住宅取得等資金の範囲:「住宅取得資金贈与の非課税制度」の場合と同じです。 但し床面積要件は50m2以上です。
(4) 相続時精算課税における贈与税の「住宅取得等資金贈与の特例」における特別控除額2,500万円(一般の特別控除額と同額です)
(注2) なお平成27年1月1日以降一般の相続時精算課税を選択して住宅取得資金贈与の特例の適用を受ける場合、 つまり贈与者がその年の1月1日現在60才以上であるときは、受贈者の範囲は20才以上の推定相続人、及び孫まで拡大されています。


3 「贈与税の申告書」添付書類
   
1) 平成28年1月1日〜12月31日の間に贈与を受けた住宅取得等資金の全額で平成29年3月15日までに住宅用家屋の新築、 又は既存住宅の取得をして自己の居住の用に供し、又は遅滞なく居住の用に供することが確実であると見込まれる人のケースで説明します。
次の<表6>の「特例」欄のA・Bは次のものを示します。
A.住宅取得等資金の「非課税制度」
B.相続時精算課税における「住宅取得等資金贈与の特例」

   
<表6>新築又は取得の場合の贈与税の申告書の添付書類
   
 
  添付書類 特例
A B
1 受贈者の戸籍謄本、又は抄本
(受贈者の氏名、生年月日及び、受贈者が贈与者の直系卑属であること、ないしは推定相続人又は孫であること証する書類)
2 受贈者の戸籍の附票の写、又は住民票の写
(受贈者の20才以後、又は平成15年1月1日以後の住所等を証する書類)
 
3 贈与者の戸籍の附表の写、又は住民票の写
(贈与者の氏名、生年月日及び贈与者の平成15年1月1日以後の住所等を証する書類)
 
4 受贈者の贈与を受けた年分の源泉徴収票など
(受贈者のその年分の合計所得金額額が2,000万円以下であることを証する書類)
(※)その年分の所得税の確定申告をした人は、その旨を贈与税の申告書の第一表の二に記載すればよいことになっています。
 
5 住宅の請負契約書、又は売買契約書写又は登記簿謄本
(住宅取得等の相手方(配偶者や一定の親族でないこと)を明らかにし、さらに住宅の面積、築後年数(既存住宅の場合)を明らかにする書類)
6 取得した住宅が既存の耐震住宅である場合の追加添付書類
(前問Q1の5<表5>の(注6)に記載する一定の耐震基準に適合する住宅であることを証する書類)
7 取得した住宅が省エネ、耐震住宅である場合の追加添付書類
(特別の非課税限度額対象となる省エネ住宅等に該当することを証する住宅性能証明書等で、一定の断熱性能又は耐震性能を証する書類)
 
8 受贈者の住民票の写
(受贈者が取得等した住宅に居住していることを証する書類)
9 相続時精算課税選択届出書(税務署に備付書類)  
     
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