A1. |
1 |
制度創設の趣旨等 |
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1) |
この度、従来の医療費控除とは選択制で年間12,000円を超える一定の医薬品を購入した場合の医療費控除の特例が新設されました。
この制度は、特定一般用医療品等(スイッチOTC医薬品)(注1)によるセルフメディケーション(注2)推進の趣旨から設けられたものです。
そこで、この特例のことを「スイッチOTC薬控除」制度とか、「セルフメディケーション税制」とも呼称されています。 |
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(注1) |
特定一般用医療品等=スイッチOTC医薬品とは |
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医療用から転用(スイッチ)された一定の一般用医薬品等で医師の処方箋がなくても購入できる市販薬のことで、対象となる医薬品については後述のとおりです。
OTC(Over the Counter)とは、カウンター越しの対面販売という意味です。 |
(注2) |
セルフメディケーションとは |
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世界保健機関(WHO)において、「自分自身の健康に責任を持ち、軽度な身体の不調は自分で手当てすること」と定義されています。 |
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2) |
この制度は、社会保障分野の改革の一環として、「個人の健康管理に係る自発的な取組を促す観点からセルフメディケーションを推進する」ことになったものです。(平成27年6月30日閣議決定)
この方針を踏まえてセルフメディケーションを推進していく中で、医療用医薬品と同じ有効成分が含まれる市販薬(いわゆるスイッチOTC薬)を代替的に使用することを推進することにより、医療費の適正化を図る観点から、スイッチOTC薬の購入費用に係る医療費控除の特例を設けることになったものです。
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2. |
制度のあらまし |
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1) |
特定一般用医療品等購入費控除の概要(表1)
適用期間 |
平成29年1月1日から平成33年12月31日までの間 |
適用対象者 |
健康の維持増進及び疾病の予防への取組みとして定期健康診断などの「一定の取組」(注3)を行う居住者 |
対象支出 |
自己又は自己と生計を一にする配偶者その他親族に係る特定一般用医薬品等の購入支出(注4) |
控除額 |
〔(その年中に支払った対象支出の額)−(保険金、損害賠償金その他類するものにより補てんされる額)〕−12,000=控除額(88,000円が控除限度) |
(注3) |
一定の取組みとは |
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医師の関与がある次の検診等又は予防接種をいいます。 |
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(1)定期健康診断 (2)特定健康診査 (3)健康診査
(4)がん検診 (5)予防接種 |
(注4) |
特定一般用医薬品購入支出とは |
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(1) |
特定一般用医薬品等(スイッチOTC医薬品)は前述(注1)のとおりです。 |
(2) |
上記「一定の取組」と「対象支出」との“紐付け”までは求められていません。
例えば特定健康診査(メタボ健診)を受けた者が、市販の解熱剤など対象製品の購入もOKです。要は「一定の取組」を行っていないと、本特例の適用が受けられないということです。 |
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2) |
医療費控除との関係
(1) |
本特例の適用を受ける場合には、従来からある医療費控除制度の適用を受けることはできません。(注5)
(注5)医療費控除との選択適用について
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イ) |
医療費控除制度では、原則として対象支出額が10万円以下の部分は足切りになっています。 |
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ロ) |
つまり従来では、足切り対象となっていた者でも、本特例による対象支出額の10万円までについては、新たに医療費控除を認めようとするものです。 |
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(2) |
(ご参考)医療費控除の概要 (表2)
適用期間 |
制限はありません |
適用対象者 |
居住者 |
対象支出 |
自己又は自己と生計を一にする配偶者その他親族に係る医療費(注6) |
控除額 |
〔(その年中に支払った対象支出の額)−@〕−A=控除額(200万円まで)
@保険金、損害賠償金その他類するものにより補てんされる額
A10万円(但し総所得金額等が200万円未満の人は総所得金額×5%)
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(注6) |
医療費の範囲 |
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医療費控除の対象となる医療費の範囲は病状その他の一定の状況に応じて医師、保健・看護士、介護福祉士等の専門職が関与して一般的に支出される水準を著しく超えない部分の金額とされています。
スイッチOTC薬控除の対象となる医薬品等購入費の支出の範囲とは別に定められていますのでご留意下さい。 |
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3) |
対象となる医薬品(スイッチOTC医薬品)について
(1) |
厚生労働省は既に対象となる82成分を3月31日付の告示で定めており、
対象となる医薬品の薬効の例としてかぜ薬、
胃腸薬、鼻炎用内服薬、水虫・たむし用薬、肩こり・腰痛・関節痛の貼有薬などスイッチOTC薬控除(セルフメディケーション税制)の対象製品1,492品目の一覧を6月17日同省のホームページに掲載しております。
一覧表は、あいうえお順で「販売品名」「製造販売業者名」「成分名」をそれぞれ表示しており、対象製品を個別に確認することができます。
同省は今後2ケ月に1回のペースで、同一覧表の更新を予定しているようです。 |
(2) |
税制対象製品の共通識別マークの任意表示について
「日本一般用医薬品連合会」でも6月17日セルフメディケーション税制の対象製品のパッケージに表示する共通識別マークを発表して顧客が手にした際に、
製品にシール貼布等を含めて表示することにより、対象製品を一目でわかるようにしたいということです。
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